美術鑑賞といえば、アート好きの皆さんは何を思い浮かべますか?
美術館やギャラリーに行くことはもちろん、有名な建造物を訪れたり、海外のアートフェアに行ったりするほかにも、アート作品も楽しむことができるホテルが、全国各地にあるのはご存知でしたか?
今回は、アート好きなら一度は泊まったみたい、日本全国のおすすめホテル・旅館をご紹介します。
加賀屋(石川県)
北陸・石川県の能登半島にある有名旅館「加賀屋」は、そのおもてなしの素晴らしさから、日本一の旅館と言われています。明治39年創業の老舗旅館で、迎賓室には天皇陛下がご宿泊されたこともあるそうです。
旅館内の至る所に、生け花や美術品、伝統工芸品が飾られ、四季や歴史、日本固有の趣の深さを感じることができます。
加賀屋では、宿泊客向けに「館内美術ツアー」が開催されるほど、館内に有名な美術品が揃っています。ツアーは、事前予約制なので、チェックインする際に申し込んでおくのがいいでしょう。
加賀屋の館内にある美術品は石川県の伝統工芸品で、歴史ある美しい作品を贅沢に楽しむことができます。
こちらは加賀友禅作家である百貫俊夫の作品「花鳥の図」です。
加賀友禅とは、石川県金沢市を中心に作られている伝統的な着物のことを指します。加賀五彩と呼ばれる5色、藍・黄土・草・古代紫・臙脂(えんじ)を基調とした色彩豊かで写実的な、自然の美しさを感じる模様が特徴的です。
加賀友禅作家の梶山伸の作品、「四季の花」は、1階から12階まで天井に向かって展示されており、その豪華さに圧倒されます。
その他には、石川県の伝統的な焼き物である九谷焼や大樋焼などの器も飾られています。
加賀屋は、一流のおもてなしを体験できるだけでなく、地元の旬の幸や伝統工芸・美術品など、五感で最高級を楽しめる日本一の温泉旅館として、たくさんの来客者が長きにわたり様々な豪華な美術作品を楽しむ全国有数のスポットとなっています。
ロックスターホテル(大阪府)
ロックスターホテルは、大阪・阿波座に2013年にオープンしたデザイナーズホテルです。
フォトグラファーである森山大道(以下、森山)監修で、4種類の客室のほか、宿泊客以外にも解放されたバーやレストラン、ルーフトップでも、アート作品に触れられる、コンテンポラリーアートホテルとして知られています。
大阪府で生まれ、グラフィックデザイナーを経て、半世紀以上にわたって写真を撮りつづけている森山の作品は、荒れてブレてぼやけたモノクロの写真が特徴的で、独特の深みを感じます。
「宿泊のための施設」という従来のホテルの概念を超えた雰囲気やコンセプトを持つロックスターホテルでは、週末にパーティースペースで、アーティストが集うイベントが時折開催されており、オフィスなどが多い近隣エリアの印象と違って、都会的で異世界な体験ができます。
向かって右側に森山の代表作品として有名な「三沢の犬」という作品が展示されています。
森山の作品の雰囲気とマッチしたスタイリッシュな空間で、非日常を感じられるアートホテルです。
node hotel(京都府)
『アートコレクターの住まいのようなホテル』 がコンセプトのnode hotelは、アートを特別なものとするだけでなく暮らしの中でアートを身近に感じる豊かな時間を体験できるようにデザインされたアートホテルです。
ホテル内には、パブリックスペース、客室両方に、世界中のギャラリーやアートフェアでコレクションされた様々なアーティストの作品が展示されており、まるで自分自身がアートコレクターであるかのような気分になれる空間が作られています。
世界的に有名で評価の高いアーティストの作品は、1階にあるパブリックスペースで鑑賞することができます。
取り扱い作品のあるアーティストは、Barry McGee(バリー・マッギー)、ゴキタ・トモオ、Gerhard Richter(ゲルハルト・リヒター)などで、様々な国内外の現代アーティスト絵画作品や陶芸作品を作品を観る事ができるので、もはや現代美術館のような感覚で訪れる方も多いのかもしれません。
宿泊施設としてだけでなく、アーティストやギャラリーとのコラボレーションによる展覧会、ポップアップストアなどのようなイベント会場としても人気を集めているようです。
ベネッセハウス(香川県)
アートの島として有名な、瀬戸内海に浮かぶ香川県の直島。豊かな自然と、たくさんのアート作品や建築物が楽しめる国内でも有数の場所です。
そんなアートの島、直島の中で美術館に宿泊するような体験ができるのが、美術館ベネッセハウス ミュージアムの中に設けられた、アート作品に一番近いこのホテルです。自然・建築・アートの共生をコンセプトにおよそ30年の歴史を持っています。
世界的に有名な建築家、安藤忠雄による設計がなされた建物や、収蔵作家の絵画・彫刻・写真・インスタレーションなどの展示を館内の至る所で観ることができます。
屋外に展示されている草間彌生の「南瓜」 は特に有名な作品で、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
屋外展示の作品は、時間を問わず楽しめるので、作品のいろいろな表情を観ることができます。
その他には、トーマス・ルフ、杉本博司、アントニー・ゴームリーなど、有名なアーティストの作品が館内に多数ありますが、ホテル内の作品は撮影禁止。宿泊した人だけが特別に楽しめるものとなっているそうです。
アンテルーム那覇(沖縄県)
ホテルアンテルームは、2011年に京都で開業したのちに、沖縄・那覇にもオープンしました。
「今」を表現するアートとカルチャーが集まる場所として、様々なアーティストとコラボレーションしたコンセプトルームが人気な、全室ハーバービューのアートホテルです。
美術家・神谷徹のコンセプトルームは、沖縄の自然からインスパイアされた美しい色彩のグラデーションが、窓の外の景色や部屋に差し込む自然光とマッチして、他にない芸術的な空間に宿泊する事ができます。
ホテルの中心にはギャラリースペースもあり、若手アーティストやクリエイターが発信・交流する場所として使われています。
アート作品をバックに、特別な写真を撮る事ができるフォトウエディングも人気を集めているそうです。
光の館(新潟県)
光の館 – House of Lightは、世界で唯一の泊まれるアート作品といわれています。
2000年に開催された第1回「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」で、光のアーティスト、ジェームズ・タレル(以下、タレル)によって製作されたこの作品は、瞑想のためのゲストハウスとして構想されました。
伝統的な日本家屋の暖かい光と、タレル自身の光の作品を融合させることで、外の光と室内の光を関係づけ、光の中で生活できる空間をイメージして作られたといいます。
四季の移ろいを感じられ、時を忘れるような静けさが、なんとも日本的な美しさを持っており、外国からの観光客にも人気があるそうです。
ガレリア御堂原(大分県)
大分県・別府市は、日本国内でも随一の温泉地として有名です。ガレリア御堂原は、この歴史ある別府の地に、『体験価値を高めるサイトスペシフィックなホテル』 という新しいコンセプトを持つ温泉宿として作られ、現代アートと独創的な建築が融合した新しい体験を提供しています。
館内には、今注目すべき日本人アーティストたちによる、別府を題材とした現代アート作品の数々が展示されています。
森林浴・トレッキング・ヨガ・マクロビオティック料理教室など幅広いラインナップの体験がたアクティビティも用意されており、非日常の空間を素晴らしい温泉とともに楽しむ事ができます。
まとめ
伝統工芸品から現代アートまで、それぞれのコンセプトで様々なアート作品に触れることができるホテルはどこも非日常を感じることができ、特別な宿泊体験ができそうですね。
加賀屋で日本一のおもてなしを一度は体験してみたいし、別府温泉に行くなら絶対ガレリア御堂原に泊まりたい!と、次に日本に帰国する際の妄想が広がりました。
旅先で泊まったアートホテルで新しいアート作品に出会うのも、旅行の思い出とともに愛着が生まれて、いいかもしれません。
参考
和倉温泉 加賀屋公式ウェブサイト:https://www.kagaya.co.jp/
KOGEI JAPAN 「加賀友禅」:https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kagayuzen/
ロックスターホテル公式ウェブサイト:http://rockstar-hotel.jp/
Node hotel公式ウェブサイト:https://nodehotel.com/
ベネッセハウス公式ウェブサイト:https://benesse-artsite.jp/
アンテルーム那覇公式ウェブサイト:https://okinawa-uds.co.jp/hotels/anteroom-naha/
光の館公式ウェブサイト:https://hikarinoyakata.com/
ガレリア御堂原公式ウェブサイト:https://beppu-galleria-midobaru.jp/