【NFTとファッション】グッチやナイキなど有名ブランドのNFT事業の例などを紹介！

本サイトでも「アートとファッションの関係性とコラボレーションの歴史」の記事で紹介したように、アートとファッションは昔から強いつながりを持ってきました。

最近、サザビーズやクリスティーズなどの老舗オークションハウスで、デジタルアートが高額で落札されるなどし、NFTアートが注目を集めている中、ファッション業界も大きくNFT関連の事業に乗り出しています。

今回は、ファッション業界でのNFT関連の動きについて、まとめて紹介します。

Contents

ファッション業界の近年の動き
- ファッションウィークでのNFT導入
- ファッション業界が立ち上げたブロックチェーングループ「Aura」
有名ファッションブランドのNFT事業の例
まとめ
参考

ファッション業界の近年の動き

数年前から、多くのファッションブランドがゲームの領域に参入してきた流れもあり、特にラグジュアリーブランドはデジタルファッションやNFTの世界でも自然と新しいビジネスの可能性を広げているようです。

ファッションウィークでのNFT導入

NFT パリファッションウィーク — *引用：WWD「Paris Fashion Week Accreditations Features NFT Artwork」https://wwd.com/fashion-news/fashion-scoops/nft-arianee-paris-fashion-week-accreditations-1234857528/*

新型コロナウイルスの影響を受け、ファッション業界のメインイベントであるファッションウィークも、2020年以降大きく変化しています。

パリ・ファッションウィークでは、オートクチュール・ファッション連盟がフランスのNFTプラットフォームArianee（アリアーヌ）と提携し、メンズの秋夏ファッションウィークとオートクチュール・ウィークの期間中、選ばれた出席者やバイヤー、ジャーナリストにNFTをギフティングしました。

このトークンを持つ観客には、有名なファッションデジタルアーティストであるリチャード・ヘインズによる限定ファッションを閲覧することができるなど、特別な体験が提供されました。

長い歴史を持つファッションウィークも、コロナウイルスの影響を受けて一気にデジタルフォーマットに移行したため、NFTは大きな役割を果たし、今後のファッション界の革命の第一歩となりました。

ファッション業界が立ち上げたブロックチェーングループ「Aura」

LVMH ブロックチェーン — *引用：2LUXURY2.COM「LVMH, Prada and Cartier develop the world’s first global luxury blockchain」https://www.2luxury2.com/lvmh-prada-cartier-develop-worlds-first-global-luxury-blockchain/*

2021年4月にプラダ、リシュモン、ルイ・ヴィトンの親会社であるLVMHのファッション大手3社は、共同でブロックチェーングループ「Aura（オーラ）」を設立しました。

「Aura」は、高級ブランド商品の履歴情報・真贋の検証を消費者がチェックできるようにすることを目的とした共同事業体で、マイクロソフト（Microsoft）、コンセンシス（ConsenSys）の協力のもと開発されたトレーサビリティプラットフォームには、エンタープライズ向けのブロックチェーン基盤「クオーラム（Quorum）」が採用されています。

このプラットフォームに参加しているブランドとしては、ブルガリ、カルティエ、ルイ・ヴィトン、プラダなどの高級ファッションブランドが名を連ねています。

有名ファッションブランドのNFT事業の例

グッチ（Gucci）

グッチ　NFT — 引用：The Fashion Law「Gucci’s First NFT is Here, and it is a Film Inspired by its Recent Aria Collection」https://www.thefashionlaw.com/guccis-first-nft-is-here-and-it-is-a-film-inspired-by-its-recent-aria-collection/

イタリアを代表する老舗ファッションブランドのグッチは、ラグジュアリーブランドの中でもいち早くNFT市場を開拓しました。

グッチは、ファッショングッズのNFT化だけでなく、2021年秋のコレクションにてデザイナーのアレッサンドロ・ミケーレとのコラボレーションによる「アリア」というNFTのビデオ作品を制作しました。

老舗オークションハウスのクリスティーズと提携し、「アリア」は6月に2万5000ドル（約288万円）で落札されました。

2022年1月には、『メタバースや新しい領域を探求するためにコミュニティとのオープンな会話を促進する場所』としてデジタル配信プラットフォームであるDiscord（ディスコード）のスペース（Gucci Vault Discord：グッチ・ヴォールト・ディスコード）をローンチしました。

またグッチは、限定版のビニール玩具やデジタルコレクティブルを制作するアメリカ・ニューヨーク発のグローバル・エンターテインメントカンパニーSuperplastic（スーパープラスチック）ともコラボレーションしています。

グッチとSuperplasticが共同でデザインした10種類の限定NFTと、Superplasticのキャラクター「CryptoJanky（クリプトジャンキー）」をベースにそれぞれのキャラクターを象ったハンドメイドのイタリア製セラミックフィギュアが、このプロジェクトの第一弾として、2月1日よりグッチのオンラインコンセプトストア『Vault（ヴォールト）』及びSuperplasticの公式オンラインストアにて販売される予定となっています。

その他グッチは2021年、100周年を記念してNFTだけでなくさまざまなイベントの試みをしています。

バーバリー（Burberry）

バーバリー　NFT — 引用：Hypebeast「Streetsnaps: Sharky B」https://hypebeast.com/2021/8/streetsnaps-sharky-b-burberry-blankos-nft-release-info

トレンチコートなどのアイコニックな商品が有名なイギリス発ブランドバーバリーは、2021年8月にゲーム開発会社Mythical Games（ミシカルゲームズ）のBlankos Block Party（ブランコス・ブロック・パーティー）と提携して、NFTコレクション「Bシリーズ」をローンチし、Blankos Block Partyの中で限定商品を発売しました。

このコレクションでは、動物をフィーチャーしたポップアップイベント「BURBERRY ANIMAL KINGDOM（バーバリー・アニマル・キングダム）」からインスパイアされたバーチャルフィギアのNFT「Sharky B（シャーキー・ビー）」などが登場し、リリース記念にリアルなSharky B（シャーキー・ビー）がロンドン、ロサンゼルス、京都、ソウル、香港の5都市のストリートに出現するというイベントも開催されました。

限定商品は販売された後、二次市場で販売されると、その一部の利益がバーバリーに還元されるようになっています。

ルイヴィトン（Louis Vuitton）

ヴィトン　NFT — *引用：PCMAG「I Played the Louis Vuitton Video Game, But Who Is it For?」https://www.pcmag.com/news/i-played-the-louis-vuitton-video-game-but-who-is-it-for*

2021年8月4日、フランスの高級ファッションブランドであるルイ・ヴィトンは、ブランドの創業者ルイの生誕200年記念プロジェクト「LOUIS 200」の一環として、スマートフォン向けのゲーム「LOUIS THE GAME（ルイス・ザ・ゲーム）」をリリースしました。

このゲーム「LOUIS THE GAME」はドールハウスを冒険するゲームで、プレイヤーは200周年記念の誕生日を表す200本のキャンドルを集めるために、さまざまな場所を旅します。

ゲーム内には30個の隠しNFTがあり、見つけると無料で獲得できるようになっており、そのうち10個は人気NFTアーティスト「ビープル」とのコラボレーションで制作されました。

現時点では、本ゲームに登場するNFTはコレクション用として公開されており、一般販売はされていないようです。

レベッカ・ミンコフ（Rebecca Minkoff）

ニューヨーク発のアパレルブランド、レベッカ・ミンコフは、2021年9月10日にヤフーの技術協力のもと、アメリカの主要ファッションブランドで初めてNFTでデジタルバージョンのコレクションを発表しました。

AR（拡張現実）とNFTを取り入れたデジタルバージョンのフォール/ホリデーのルックは、ニューヨークファッションウィークのタイミングで公開され、モバイル端末とデスクトップを介して、バーチャルのニューヨークの街にオーディエンスを連れていきました。

レベッカ・ミンコフは、デジタルマーケットプレイスのThe Dematerialised（ザ・デマテリアライズド）との協業により400着のデジタルアパレル商品を制作し、それらは最大級NFTプラットフォームOpenSea（オープンシー）のオークションにて、なんと10分で完売したそうです。

アディダス（addidas）

アディダス　NFT — 引用：Bitcoin.com「Adidas Steps Into the Metaverse by Partnering With NFT Projects Bored Ape Yacht Club, Punks Comic」https://news.bitcoin.com/adidas-steps-into-the-metaverse-by-partnering-with-nft-projects-bored-ape-yacht-club-punks-comic/

2021年12月、大手スポーツアパレルブランドのアディダスは初のNFT3万点を販売し、そのうち29620個が2300万ドル（約26億円）で完売しました。残りの380個は、アディダスやそのパートナーが所有しています。

今回アディダスがローンチしたNFTは、NFT界で有名なBored Ape Yacht Club（ボアード・エイプ・ヨット・クラブ）、Punks Comics（パンクス・コミックス）、GMoney（ジーモンキー）とのコラボレーションによってパーカーやトラックスーツなどの限定商品が作成されました。

NFT購入者はメタバースへのアクセス権が付与されるなど、所有者にエクスクルーシブな体験を提供しています。

ナイキ（Nike）

ナイキ　NFT — *引用：HYPEBEAST「Nike Acquires Fashion and Sneaker NFT Site RTFKT」https://hypebeast.com/2021/12/nike-acquires-rtfkt-sneakers-nfts-digital-collectibles*

2021年12月、世界的人気を誇るスポーツウェアブランドのナイキは、バーチャル・スニーカーやグッズの制作で注目を集めている、NFT界をリードする会社・ブランドであるRTFKT（アーティファクト）を買収しました。

ナイキは、2019年にイーサリアムネットワーク上で靴の所有権をトークン化する特許を取得したり、2021年11月にゲームプラットフォームRoblox（ロブロックス）｣内に仮想空間｢NIKELAND（ナイキランド）｣を開設したりと、メタバースに参入する積極的な姿勢を見せてきました。

最先端のテクノロジーを活用し、カルチャーとゲームを融合させた次世代のコレクターズアイテムを提供しているRTFKTの買収によって、ナイキはデジタルイノベーションを更に加速させていくでしょう。

ギャップ（GAP）

GAP NFT — *引用：Decrypt「The Gap Jumps Into NFTs on Tezos—With Physical Apparel Perks」https://decrypt.co/90285/the-gap-tezos-nfts-physical-apparel-perks*

アメリカのカジュアルブランドであるギャップは、2022年1月13日から暗号資産テゾス（XTZ）のブロックチェーン上で動作するNFTシリーズをローンチしました。

今回のNFTは、Frank Apeというキャラクターで知られるアーティストBrandon Sinesとのコラボレーションによってデザインされました。

NFTの種類は「Common（コモン）」、「Rare（レア）」、「Epic（エピック）」、「One of a Kind（ワンオブアカインド）」の4つにレベルに分類され、特定のNFTコレクションを集めて限定NFTと交換し、限定パーカーをもらえるという仕組みを取り入れたゲーミフィケーションモデルとなっています。

NFTを通じて、ブランドにとって新しい顧客との関わり方を試験的に取り入れ、まだ新しい領域にあるNFTを楽しみながら取り入れる機会を提供しています。