年末年始が近づいてきましたが、皆さんは冬休みの予定は決まりましたか?
コロナウイルスの流行の影響もあり、自宅でゆっくり過ごす方も多いのではないでしょうか。
今回は、時間のある冬休みにおすすめな、アート関連の映画や、ネットフリックスで観ることができる番組などをまとめてご紹介します!
アート好きの方にオススメの映画
「ゴッホ 最期の手紙」

「ひまわり」や「星月夜」などで知られる印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホの死の謎を解き明かしていくサスペンスドラマである「ゴッホ 最期の手紙」は、なんと125人の画家の協力によって描かれた約62,450枚の油絵を用いた、異例の全編絵画でできたアニメーション映画となっています。
もちろん、ゴッホ自身の絵画も130点ほど用いられており、ゴッホの作品のファンならストーリーを追う中で気づくことができるはずです。
他にも、ゴッホが描いた名画に登場する人物たちが、その名画の背景や風景とともに映画の中に登場するというのも面白い点です。
「ミッドナイト・イン・パリ」

西洋美術が好きな方にオススメなのが、映画「ミッドナイト・イン・パリ」です。
芸術の都フランス・パリへ旅行で来た主人公が真夜中にパリの街を散歩していると、1920年代にタイムスリップし、そこで当時活躍した歴史的芸術家たちに出くわすという不思議なストーリー。
映画の中で登場する、パブロ・ピカソやサルバトール・ダリ、ポール・ゴーギャンなど数々の美術界の巨匠たちの人柄がそれぞれユニークに描かれているので、アートファンなら想像力を膨らませて楽しむことができるでしょう。
「テネット」

クリストファー・ノーラン監督の映画「テネット」は、時間軸が逆行するというテーマで構成された難解なストーリーで、見応えのある映画です。
映画の中では、フランシスコ・デ・ゴヤとピーテル・パウル・ルーベンスの絵画の贋作がキーアイテムとして登場します。
映画を観終わった後、ゴヤやルーベンスの絵画について調べてみると、ストーリーとの関連性を推測することもできて面白いかもしれません。
「ナイト・ミュージアム」

映画「ナイト・ミュージアム」シリーズは、それぞれ有名な博物館・美術館を舞台に描かれており、夜になると展示物が動き出すというファンタジー・アドベンチャーです。
第1作目の「ナイト・ミュージアム」の舞台は、アメリカ自然史博物館。巨大な恐竜の骨格標本やモアイ像、ルーズベルト像など有名な展示物が登場します。
続編である「ナイト・ミュージアム2」は、スミソニアン博物館、「ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密」では、アメリカ自然史博物館と大英博物館が舞台となっており、様々な展示物、美術品がストーリー全体を通して登場するため、それぞれの博物館・美術館に行ったことがある方なら、その思い出が蘇るかもしれません。
「モネ・ゲーム」

コリン・ファース、キャメロン・ディアスが主演の映画「モネ・ゲーム」は、フランス印象派の父クロード・モネの贋作をめぐる詐欺計画によって一発逆転を狙うがなかなかうまくいかないというドタバタなコメディ映画です。
映画の中で登場するモネの「積みわら」シリーズは映画オリジナルであり、モネの本物の作品ではないという点も、観客を欺いていて映画のストーリーに沿っているのかもしれません。
「グランド・ブダペスト・ホテル」

美術品などのアート関連のものは登場しないのですが、映画全体の構図や色使いに卓越した美意識を感じるウェス・アンダーソン監督の傑作として「グランド・ブダペスト・ホテル」も是非アート好きの皆さんにはオススメしたいです。
第64回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得、第87回アカデミー賞では9部門にノミネートされ、美術賞、衣装デザイン賞、メーキャップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞の4部門を受賞したという業界でもお墨付きのこの映画は、日本でも女性を中心に人気を集めています。
ピンクを基調とした可愛いホテルの外装とホテルで働くスタッフたちがまとう鮮やかな紫の制服、真っ赤なエレベーターの内装など色使いが鮮やかながらも絶妙にスタイリッシュで、左右対称な構図によって1つ1つどのシーンを切り取ってもアーティスティックな印象を受けます。
ストーリーにも、映像にも遊び心があり、最後まで夢中になってしまい、何度も見返したくなる映画です。
「アメリ」

19世紀後半から20世紀初めにかけて、印象派やキュビズムなど、様々な芸術家たちを惹きつけてきたフランス・パリのモンマルトルを舞台に描かれた、主人公アメリのラブストーリー「アメリ」。
パリの街並みの美しさはもちろん、赤が基調で印象的なアメリの部屋などに見られるおしゃれなインテリアに注目する方も多いのではないでしょうか。
アメリの部屋に飾られているのは、ドイツの画家、イラストレーターであるミヒャエル・ゾーヴァの作品です。
ゾーヴァは柔らかいタッチで少しシュルレアリスムのような雰囲気を感じる印象的な作品を描きます。
また、劇中の登場人物がフランス印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの「舟遊びをする人々の昼食」を模写するシーンなども登場します。
Netflixで観られるアート関連映画・ドキュメンタリー
「アート・オブ・デザイン」

ドキュメンタリー番組が豊富なネットフリックスですが、アートファンにオススメなのが「アート・オブ・デザイン」です。
このシリーズでは、1エピソードにつき1人のアーティストにスポットライトを当てて、彼らの仕事への哲学や美学を辿ります。
出演者はいわゆる芸術家という意味のアーティストに限らず、雑誌「The New Yorker」の表紙でおなじみのイラストレーターであるクリストフ・ニーマンや、伝説的人気を誇るエア・ジョーダンの生みの親であるシューズデザイナーのティンカー・ハットフィールドなどいずれも世界トップレベルのデザイナー、アーティストたちです。
シーズン2:エピソード1には、東京都現代美術館やイギリス・ロンドンのテートモダンでの展覧会が記憶に新しい、デンマーク・コペンハーゲン生まれのアイスランド系の芸術家オラファー・エリアソンが出演しています。
「空のハシゴ ツァイ・グオチャンの夜空のアート」

火薬を用いた壮大な作品で知られている中国の芸術家、蔡國強(ツァイ・グオチャン)のあるプロジェクトを追うドキュメンタリーです。
1986年から1995年まで日本でも活動していたことのあるグオチャンは、火薬や爆発事象などを取り入れた実験的な表現を探求してきました。
1999年にヴェネツィア • ビエンナーレで金獅子賞、2007年に広島アート賞、2009年に福岡アジア文化賞2012年に高松宮殿下記念世界文化賞など数多くの賞を受賞したり、2008年に開催された北京夏季オリンピック開閉式のアーティスティックディレクターを務めたりと、中国を代表するアーティストの一人であるグオチャンのアート作品への向き合い方や哲学に触れることができ、オススメです。
「ダ・ヴィンチ・コード」

2003年に発表され、世界的大ベストセラー小説となったダン・ブラウン著の原作を元にした映画「ダ・ヴィンチ・コード」。
レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作、ミラノの「最後の晩餐」やルーヴル美術館の「モナ・リザ」や、カトリック教会を母体にした秘密結社についての謎を解き明かしていくこの映画は、難解ながらもスリルのあるストーリーで観客を最後まで飽きさせません。
本と違って限られた時間に内容が詰め込まれた映画であるため賛否両論もあるそうですが、西洋美術やキリスト宗教学にまつわるストーリーが満載で、特に西洋美術史に興味のある方にはオススメです。
「だましだまされアート界: 贋作をめぐる物語」

「だましだまされアート界: 贋作をめぐる物語」は、美術品の贋作による詐欺事件をめぐるドキュメンタリーです。
大きなお金が動くアート界において、作品の真贋を見極めることは重要ですが簡単ではありません。
この作品では、贋作を通して見えてくるアート界に渦巻く欲望がもたらした悲劇が描かれており、アートの本当の価値は何なのか今一度考えせられます。
「アンソニー・リスター:アーティストの光と影」

オーストラリアのストリートアーティスト、アンソニー・リスターの1人の人間としての成功、葛藤、後悔、家族との絆を描いたドキュメンタリー作品です。
まさにアーティストの光と影を包み隠さずに描いた、美術界で生きていく若きアーティストの姿を知ることができるリアルなドキュメンタリーとして、アートに興味のある方にはぜひ見て欲しいです。
「夢二 愛のとばしり」

明治時代から大正時代にかけて人気を博した美人画で知られ、多くのファンから愛され続けている竹久夢二の人生を描いたドキュメンタリーです。
画家としての姿だけでなく、妖艶な色気で女性からモテたという竹久の女性遍歴も描かれており、竹久の一人の人間としての本質に迫ります。
全体を通して、大正ロマンの世界観を味わうことができるため、竹久の絵に惹かれる方にはピッタリかもしれません。
まとめ
様々な角度から、アートを楽しむことができる映画やネットフリックスの番組を紹介しました。
ネットフリックスのドキュメンタリーだと、1時間ちょっとで観ることができるため、ちょっとした時間つぶしでアートについての知識を深められてオススメです。
また、冬休みにアートイベントや美術館へ行く予定のある方は、予習として映画でアーティストや美術史についての知識をつけてから行くと、より深くアートを楽しむことができるでしょう。
冬休みにオススメのアートイベントや美術館については、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね!
参考
PARCO MOVIE「ゴッホ 最期の手紙」https://www.cinequinto.com/parco-movie/movie/?id=533
アートをめぐるおもち「テネットに登場するゴヤとルーベンスの贋作についての考察」https://omochi-art.com/wp/tenet/
Design Week「Behind the scenes of the second series of Netflix show Abstract: The Art of Design」https://www.designweek.co.uk/issues/30-september-6-october/netflix-abstract-season-two/
Netflix「Sky Ladder: The Art of Cai Guo-Qiang」https://www.netflix.com/title/80097472
Billboard Japan「竹久夢二に迫る映画『夢二~愛のとばしり』幻想的な場面写真一挙公開」https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/36809/2
